日本スペインピアノ音楽学会(JSSPM)
2021年6月26日(土)19:00〜20:00 第68回オンライン例会
「日本におけるグラナドス受容――その死から10年間の言説をめぐって――」
担当:井澤友香理(当学会正会員)
エンリケ・グラナドス Enrique Granados(1867〜1916)は、《スペイン舞曲集》や《ゴイェスカス》などの優れたピアノ作品を多く残し、スペインの鍵盤音楽史上重要な位置を占めている作曲家の一人である。こんにちの日本でも彼のピアノ作品は親しまれ、レパートリーの一つとして演奏されてきた。
しかし日本におけるグラナドス受容の最初期の様相を示す言説において、彼がピアノ作品ではなく、オペラで成功した作曲家として紹介されたことはあまり知られていない。その大きな要因の一つは、彼の名が日本で初めて大きく取り上げられたのが、1916年の追悼記事であったことにある。グラナドスはオペラ《ゴイェスカス》の初演に立ち会ったニューヨークからの帰路、乗船したサセックス号が第一次大戦下のドイツ軍の潜水艦(U-29)の攻撃に遭い、妻アンパロと共に海の藻屑と消えてしまったのである。この事件について当時の日本の音楽雑誌は、グラナドスを戦時中に命を落とした悲劇の作曲家として、死の直前に成功を収めたオペラ作品とともに報じた。以後10年間の言説においても、徐々にピアノ作品の存在にも光が当てられていくものの、グラナドスの名はほぼ同様の文脈で現れることになる。
本発表では日本の音楽雑誌におけるグラナドスの追悼記事、及びその後10年間に発行された文献におけるグラナドスに関連する言説を読み解くことで、その受容の最初期の様相を部分的に明らかにする。さらにその背景事情について考察を加える。
当日までに例会オンラインのための招待リンク(zoomを利用)をお送りします。
オンライン例会については、会員のみ対象の非公開例会となります。
どうぞ会員の皆様のご参加をお待ちしております!
スケジュール:2021年6月26日(土)19:00〜20:00
ZOOMオンライン/参加費:無料(JSSPM会員対象)
2021年06月06日
JSSPM第68回オンライン例会 2021年6月26日(土)「日本におけるグラナドス受容――その死から10年間の言説をめぐって――」担当:井澤友香理
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